あれから3年。まだまだとはいえ、コロナ禍がようやく明けてきたのかな、そんな気持ちです。

今夜、嬉しいことに、卒業生のきょうだいが元気な顔を見せに来てくれました。時の流れは早いもので、お二人とも21歳、18歳になりました。同級生の誰々がああだった、こうだったと昔話に花を咲かせながら、いまは大学生として、あるいはビジネスパーソンとして立派に大きく成長していることに驚き、また嬉しく思いました。こんな時はまったく教師冥利に尽きます。

そう、かつてのさまざまな教え子の顔がふと思い浮かぶことがあります。まだ誰もいない授業前、塾の机や椅子を拭いたりしているときなど特にそうです。机や椅子は半世紀くらいは古いままですので、ここを触ると昔のことを憶い出しやすいのかも知れません。当時の自分の先輩、同級生の仲間、後輩や教え子の、その全てをひっくるめて、「あの子」たちの残した痕跡は、教室のあちこちに感じられ、そのときのことが静かに、しかし鮮やかに甦ります。

ここが誰々の指定席、あの子は当時随分尖っていた、あのつぶやきを私は聞いてうけとめきれず、どうしていいかわからなかった、この通路をあの子は泣きながら歩いてきた、それから別の日には笑っていた、あのとき親御さんが突然泣き出して、子どもさんはうつむいていて、父である塾長が、無言になって、怒って、謝って、笑って、、などと甦ることはいろいろとあるもので、父にとっては青年期から60年、私にとってもここで生を享けておよそ50年、確かに歩んできた重みのある「生」なのだと思います。

そこに自分が立ち会っていたんだなと思うとあらためて感謝の念しか浮かびません。かつての卒業生と再会できるのは本当に嬉しいことです。このような、ひとが不当に選別されて生き辛く、社会が何かと分断されやすい時代にあって、かつての卒業生の皆さんにエールを贈りたい気持ちになります。

というわけで、つらつらと書いてしまいましたが、ともあれ美希ちゃん、拓海君、今日はどうもありがとう。また遊びに来てください。いつでも。

コロナも明けたことですし、他の卒業生の皆さんも、時間のあるときに、元気あるなしに関係なく、ぷらっと立ち寄っていただけたらと思います。お待ちしています。

画像:2023年6月 小井出さん、小井出君きょうだいと共に